何を証明する書類なのか
就労資格証明書は、外国人が日本で行うことができる収入を伴う事業を運営する活動、または報酬を受ける活動について、法務大臣が証明する文書です。
転職の場面では、転職先での職務内容が、いまお持ちの在留資格で認められる活動に該当することを、入管があらかじめ確認したうえで証明する、という位置づけになります。
取得は任意です。取得しなくても転職はできますし、就労も可能です。義務のある手続きではないため、取るかどうかを自分で判断することになります。
取得するとどうなるか
利点は主に3つです。
- 次回の更新が通りやすくなる— 在留期間更新許可申請の際に、職務内容の適合性についてあらためて争点になりにくくなります。入管が一度確認した事実が書面として残るためです。
- 企業に対して示せる— 転職先に対し、その職務に就ける立場であることを客観的に示せます。外国籍の従業員を雇用した経験が少ない企業では、これが安心材料になることがあります。
- 入社前に問題が分かる— 万一、職務内容が在留資格の範囲に収まらない場合、入社前の段階でそれが判明します。
3点目は見落とされがちですが、実務上はもっとも大きい利点かもしれません。入社後に適合性の問題が判明すると、勤務を続けられなくなる可能性があります。内定段階で分かれば、職務内容の調整を相談する、在留資格の変更を検討する、辞退するなど、対応の選択肢が広く残ります。
取得しない選択もある
取得しないことによる不利益は、原則としてありません。判断材料になるのは、主に交付までにかかる期間です。
申請から交付まで一定の期間を要するため、入社日が近い場合には間に合わないことがあります。また、職務内容が現在の在留資格の範囲に明らかに収まっている転職であれば、取得の必要性は相対的に低くなります。
| 状況 | |
|---|---|
| 取得を検討したい | 職種が変わる転職をする/業種が大きく変わる/転職先が設立まもない会社である/次回の在留期間更新まで期間が空く/転職先から在留資格の確認を求められている |
| 必要性は低い | 同じ職種・同じ業種への転職/在留期間の満了が近く、まもなく更新申請を行う/入社日まで日数がない |
「次回の更新まで期間が空く」ことが判断材料になるのは、在留期間が長いほど、職務内容が確認されないまま働く期間が長くなるためです。3年や5年の在留期間をお持ちで、転職直後の場合は、取得しておく価値が相対的に高くなります。
職種を変える転職でも在留資格は通る?|職種が変わる場合の考え方は、別の記事で整理しています。
申請の流れと必要書類
申請は本人または代理人が行います。一般的に、次のような資料を提出します。
- 就労資格証明書交付申請書
- パスポートおよび在留カードの提示
- 転職先との雇用契約書または労働条件通知書の写し
- 転職先の会社の概要が分かる資料(登記事項証明書、会社案内、直近の決算文書の写しなど)
- 職務内容が分かる資料(採用理由書、職務内容説明書など)
- 前職の源泉徴収票、退職証明書
必要書類は、勤務先の規模や事案によって変わります。申請前に、管轄の地方出入国在留管理官署でご確認ください。
このうち、職務内容が分かる資料がもっとも重要です。雇用契約書に「営業」とだけ書かれていても、そこから業務の実態は読み取れません。どのような顧客を相手に、どのような知識を使って、何を行うのか。これを説明する書面を企業に用意してもらえるかどうかで、手続きの進み方が変わります。
手数料と交付までの期間
交付される際に手数料がかかります。金額は改定されることがあるため、申請前に出入国在留管理庁のページでご確認ください。
交付までの期間は事案や時期によって変動します。入社日から逆算し、余裕をもって申請することをおすすめします。内定が出た段階で企業に書類の準備を相談しておくと、進めやすくなります。
交付されなかった場合
申請した職務内容が在留資格の活動範囲に該当しないと判断された場合、その旨が記載された証明書が交付されることがあります。
この場合、その職務にそのまま就くことは難しいと考えられます。ただし、それは転職そのものができないという意味ではありません。次のような対応が考えられます。
- 企業と相談し、職務内容を在留資格の範囲に収まる形に調整する
- 別の在留資格への変更が可能かどうかを検討する
- 不交付の理由を確認したうえで、資料を補って再度申請する
入社前にこれが分かること自体が、この手続きの価値です。入社してから判明した場合、対応できることは大きく限られます。
内定が出たのに在留資格が下りないことはある?|想定される原因は、別の記事で解説しています。